2006-11-13
インマゼールのラヴェル 地味ながら、侮れぬ。
あまりの素っ気なさに、始めは肩透かしのような印象を受けたのが正直なところ。ただし、繰り返し聴くうちに、今までのインマゼールの録音にない"冷気"や"苦み"がじわっと伝わってくる。インマゼールのラヴェル解釈はデカダン的とでもいうか厭世的な雰囲気に満ちていて、健全な生活を送っている人にはとてもお勧めできないが、やはり侮れない。「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、ようやく色づいた地元の山のひなびた景色に意外にも良く合った。はかない気分が増幅されて、心が潰れそうになる。文字どおり、これこそレクイエムなのだ、と。(これ以上のレクイエムなどありうるだろうか?)インマゼール、どんどん凄くなってくる。
自分の葬式には、このCDのパヴァーヌをかけてほしい…。いつのことかは分からない話だけど。
ラヴェル:ボレロ、亡き王女のためのパヴァーヌ、左手のピアノのための協奏曲、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス
ジョス・ファン・インマゼール指揮 アニマ・エテルナ
[Zig Zag Territoires ZZT060901]
それにしても、アニマ・エテルナの弦楽セクションはいつの間にこんなに強力になったのか?近代作品のピリオド楽器演奏は今でもほとんどないので、始めは耳が慣れないのか気づかなかったけれども。
そういえば、前の「R=コルサコフ:シェエラザード」の録音辺りからえらくオーケストラの精度が上がってきたなあと。聴けば聴くほどボロがなく、これは全盛期のコンチェルト・ケルン並だなとか感じてはいたけれど、今回の弦楽セクションから感じる"冷気"、更に只事ではない。
透徹した雰囲気の中に、異常な凝縮感を感じる。昔インマゼールのベートーヴェン第九の録音が出たときに、レコ芸の月評か何かで宇野功芳氏が「インマゼールの音はマイクに入りきらない」と例の名文句を使っていたことを思い出した。正直それは言い過ぎではないかと当時は思っていたのだけど、今回の録音を聴くと、目指す方向性は大分違うものの、そこにはムラヴィンスキーと同じようなものがあるのではないか?なるほど、宇野氏の言葉を今になってしみじみと噛み締める。
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