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フェステティーチ四重奏団 最初に聴くならコレ。
ハイドン:エルデーディ四重奏曲op.76(全曲)、ロプコヴィッツ四重奏曲op.77(全曲)、弦楽四重奏曲第83番 変ロ長調op.103
フェステティーチ四重奏団(Quatuor Festetics)
[ARCANA A419(3枚組)]

 3枚組なので、ちょっと買うのを躊躇する人もいると思うのだが。しかし管理人は、この3枚組でハイドンに対する価値観がすっかり変わってしまった。自信を持ってお薦めする。ハイドンって、なんて豊かで楽しいのだろう。

 この録音を聴くと、モザイクSQ、クイケンSQ、カルミナSQ等、他の演奏がいかにハイドンの魅力の重要な部分をそぎ落としているかが、またそこまでしてバランスを整える(上品な演奏に仕立て上げる)ことの無駄さ加減がすっかりバレてしまうという、ハイドン演奏史上画期的な、10年に1度の名盤と言ってもまだ褒め足りない位エポックメイキングな演奏。現代の洗練のイメージからかなり離れたローカル色の強い音色(ハンガリーっぽい?)に最初面食らう人もいるかもしれないが、思い切って買う価値は十分にある。

 説明では良く聞く「ユーモアたっぷりの、あたたかい、豊かな音楽」という、理想的なハイドンのイメージをここまで実際に楽しめる演奏はない。(管理人はこの録音を聴くまで、そんなイメージは机上で考えた幻想のようなものと思ってたんですけど。)

 弾いている演奏家自身が、最初から最後まで実に楽しそうなのだ。この愉悦感は、他の録音ではほとんど味わえないものだ。またこの四重奏団、偶然か意図的かは知らないが、自分達の歴史の中でもちょうど脂の乗りきった、一つの頂点とも言える時期にタイミングよくハイドン弦楽四重奏の最高傑作、エルデーディ四重奏曲を録音したことになりそうだ。ハイドンを最もメインのレパートリーとして、ライフワークのように全集録音の完成を目指しているこの四重奏団にとっては演奏家冥利に尽きる、という感じなのではなかろうか。


 フェステティーチ四重奏団の第一ヴァイオリンは、ウィーン・アカデミー合奏団の元コンマス、イシュトヴァン・ケルテシュ。ケルテシュの後のコンマスは今をときめくあのグナル・レツボルだったりする、侮れないピリオド楽器オーケストラの出身。従って、基本的には隅々までピリオド楽器流の解釈、というか、他のどの録音よりもピリオド楽器流の解釈が徹底している、といったほうが正しいだろうか。

 まず、音色が多彩である。かなりはっきりしたノン・ヴィブラートを基調としながら、必要な部分でのヴィブラート、ポルタメント等々、使える表現は何でも使っていく、といった感じ。野暮ったい表現も遠慮なく使っていく。
 op.76-2「五度」の第4楽章冒頭の表現や、op.76-3<皇帝>第4楽章、op.76-5の第4楽章のミュゼット風表現等、場面に応じ、思い切って一番「それらしい」表現をしている。
 特にモザイクQやクイケンQは、自分達の四重奏団としてのアイデンティティを保つためか、表現が割とモノクロームになりがちで、フェステティーチQの場合も他の録音ではそういう所が無きにしもあらずということもあるのだけど、この録音はそういうところが割と吹っ切れていて良い。モザイクQの繊細な表現も悪くないのだけど、ハイドンではやや分が悪いか。

 次に、多彩な音色を使った表現が実に的確である。前もどこかで同じ表現を使ったが、かゆい所に手が届く、といった感じ。デュナーミクの取り方も、実に大きい。カルミナQも多彩な音色と大きなデュナーミクの対比で色々考えたであろう表現をしているのだけど、ハイドンに関しては色々な表現が上滑り気味で、いま一つハマっていない感じがする。モダン楽器使用のため、大きな音でも小さな音でも音色にあまり変化がないこともハンディになっているようだ。その点、フェステティーチQはハンガリー出身者というアドバンテージもあるのか、表現の各所各所、即興的な表現に至るまで実に違和感がない。

 なお、基本的にはアグレッシブな古楽風のアプローチで、例えばアタックはエッジが効いた強烈な表現なのだけど、単に強烈なアタックというだけならクイケンQのほうが部分的にエッジの効いたアプローチをしており、フェステティーチQの専売特許ではない。それよりむしろ、これだけアグレッシブな解釈なのに暖かい音色・雰囲気が全体に漂い、場面によってはリラックスしたような雰囲気もある、そんなところが大好きなのである。

 日本では、モザイクQの演奏がリリース時に結構話題になって、これから定盤のように語られていくのだろうけど。 まあ、興味がある人はフェステティーチQのCDと聴き比べてみてください。聴いてみてから話は始まるのだと思うのですよ。

※ただし、モザイクQのop.76の録音は、同団体のハイドン録音の中でも出色の存在で、クイケンQ、カルミナQの録音も質の高いものであることには疑いがない。それでもフェステティーチQのハイドン録音はこれらより1枚上手。信じられなかったらとにかくフェステティーチQのCDを聴いてみてください。
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