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パトリック・ビスムス(vn) 最速のシャコンヌ
「J・S・バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(全曲)」
パトリック・ビスムス [Patrick Bismuth] (vn)
[STIL 0209 SAN 91]
パトリック・ビスムス(vn) 無伴奏ヴァイオリン/ソナタとパルティータ(全曲)[STIL] この録音、いつかはひとりでに有名になるものと思っていたが、あまりそういう動きもなく、ネットでもほとんど話題になっていない。

 しかし、このまま埋もれさせておくのはもったいない。アクが強いが演奏の完成度も高く「ひとりよがり」の一言では片付けられない。目下、私が一番好きな「無伴奏」である。有名にならないのは、ほぼ間違いなくCD自体が入手困難で、多くの人に聴かれていないからだろう。

 でなければこのような録音、誰が放っておくだろうか?


 STILというレーベルはあまり多くのCDの流通は望んでないのだろう。解説書はフランス語しか載ってないし、通常はCD店や通販でも見かけることはないが、経営者の気まぐれというか、何かの拍子に何度か日本でも出回っていたことがある。何ともあちらの国らしい偏屈者哲学を持ったレーベルだが、ただし出回ってもCD1枚当たり3000円を超えていたことがあったり、入手困難がすでに代名詞になってる、そんなレーベル。

 が、CDの内容は例えば故スコット・ロスの若い頃の録音(F.クープラン、ラモーの全集や、バッハの一枚)、グスタフ・レオンハルトのラモー、そしてなぜかジネット・ヌヴー(vn)/イッセルセルシュテットのブラームスのヴァイオリン協奏曲の「原盤所有か?」と噂される高音質の録音など、マニア向けながら非常に質の高いものばかり。

 パトリック・ビスムスという演奏家はここの録音以外でほとんど見たことがないが、さすがはSTIL、人選に間違いはない。ライナーノートによればマルゴワールのオケ(グラン・デキュリ…)関係の人らしいが、ピリオド楽器だけでなく、モダン楽器でのCDリリースもあるようだ。

 スコット・ロスなど他の録音から想像できるように、演奏は「ピリオド楽器」によるもの。とはいえ、クイケンを代表する一派とはアプローチが異なる。ソナタ第1番フーガ等、和音を「ぶつける」と言わんばかりに「熱い」。主情的な面が結構あるのだ。だからといって、モダン楽器の演奏家のように自分の独善の中に曲を埋没させてしまうようなものではなく、とくにリズムの点では曲の舞曲的な側面を強調するなど、一面ではかなり冷徹とも感じられるところがある。が、多少曲の立体的な構造を犠牲にしてでも感情を和音に載せたためスケールが小さくなっておらず、非常に効果を発揮している。(シギスヴァルト・クイケンの潜在的なポリフォニーを全て掘り起こしたかのような立体的な演奏も大好き、ではあるのだけれど。)

 フレーズの区切り方も独特な点が多いが、先にあげたとおり舞曲としての側面を際立たせるために使われることが多く、「おっ」といった感じで曲の新しい面を発見できる場面も結構ある。

 「シャコンヌ」も、ビートの強調、とくにフレーズの終わりの思い切った切り上げ方など、タンゴでも想像したのではないかというほどダンスミュージックらしい振る舞いで演奏されており、身振りも派手で非常に心地良い。結果、演奏時間が「9分32秒」という前代未聞のスピードになっているが、それも納得、の解釈があってのことで、不自然さは感じられない。冒頭は感情移入しづらいかもしれないが、中盤以降、「熱く」ぶつける和音が効果を発揮して、意外と感情移入し易い。個人的にはこれ以上のシャコンヌ、知りません。

 録音年代はSTILにしてはかなり新しめの1991年(DDD)。高音質を誇るSTILだが、録音場所の教会の反響音をそのまま取り入れてあるため、録音自体は好き嫌いが分かれる所だろう。ぱっと聴いた感じでは「どこの安スタジオで録ってきたのですか?」と問いたくなるような感じがしないでもないような。とにかく演奏の中身が良いので、そんなことはどうでも良くなるのだけど。

 なおこのCDは、その存在を「バッハCDライブラリ(現在は休止中か?)」で知ったものだ。このサイトで星5つの評価だったので、知らない演奏家でも買ってみる気になった。そして、あのサイトがもうないと知ったため、このCDの記録を残してみる気になった。バッハCDライブラリ、前は工事中とか表示していたが、今はもう残骸さえない。復活とかしないのだろうか。

 最近、パトリック・ビスミュートという日本語表記で新譜「ビーバー:ロザリオのソナタ」が輸入盤でリリースされてるみたい。気には、なるな。
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コメント

こんにちは

9分32秒の熱いシャコンヌ!聴いてみたい・・。パッケージ見かけたことないですが、気長に探してみます。
バッハCDライブラリが閉鎖されたのはホント残念です。ああゆう啓蒙サイトがなくなるのは痛いですね。
また遊びにきます。

お久しぶりです

どうも、ずいぶん前の記事にコメントさせて頂いて申し訳ありません。クラシック関連の記事、いつも楽しく拝見させていただいています。
前々から評価が高いのは知っていたものの、入手を諦めていたビスムスの無伴奏。こちらの記事を読ませていただき、どうしても欲しくなり、手に入れることができました!!しかし、これは凄いですね。
嬉しくなり、朝歌の方も更新いたしました。これからも質の高い記事を楽しみにしております。

>a.t.i.rom 様 コメントありがとうございます。

 こちらこそ、「朝歌」のサイトとブログ「海の星」、楽しく拝見させて頂いています。STIL、アリアCDでまだ手に入るのですね。このまま、たくさんの人に触れてもらう機会が続くと良いですね。

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