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ベートーヴェン:ピアノソナタ「悲愴」「月光」 小倉貴久子さん、相変わらずアグレッシヴな。
・「月光」「春」~ワルター・ピアノと弦によるベートーヴェンの輝き~[浜松市楽器博物館コレクションシリーズ15]
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、第14番「月光」、ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」ほか
小倉貴久子(fp、1808~10年製ワルター&サン)、桐山建志(vn)、花崎薫(vc)

 以前のショパンのCDで、えらいテンポでカッ飛ばした熱い「仔犬のワルツ」や、同じくかなりアグレッシヴな「幻想即興曲」の演奏が記憶に残る小倉貴久子さん。今回のベートーヴェンの新譜はショパンのようにカッ飛ばす演奏ではないアプローチだが、こちらもやはりアグレッシヴと言わざるを得ない。

 「ダァァァン………」と、最初の一撃を思う存分響かせる「悲愴」の冒頭。誰もが一度は思い描く姿に違いないが、実際に耳にしたのは初めて。心地よい響きではないか。「月光」の第1楽章の演奏は最初から最後までダンパーを上げたまま。全ての響きが混じり合う、表面的なきれいさだけでは片付けられない幻想的な響き。


 小倉さんのベートーヴェンのアプローチはどの曲も冒頭はゆっくりめのテンポで、比較的余裕のある空間に重めの打鍵が楔を打つように入っていく。楽器の響きが比較的軽いことも影響してか、やや落ち着いているとも取れる印象だが、冒頭を聞いて「ん~、こんな感じね」と早合点してはいけない。

 各楽章、アルバムを通していえることだが、この方、後半になればなるほどノリが良くなっていく。主題の再現に入ったあたりでメロディーにこめられた情念がハタ目にもわかる位色濃くなり、ただでさえ重い打鍵が2割増くらいでさらに重くなってくる感じがする。かくして、楽章の終わりは往々にしてヘビーなパンチの連発、テンポもいつの間にか切迫した状況になっており、最後の和音を打ち鳴らした後は楽器の残響音がワンワンとうなりを立てているのが聞こえる。

 骨董品のワルターを限界まで弾ききった演奏、いいですなあ。ヴァイオリン・ソナタの演奏もシューレーダー/インマゼールの時代に比べて随分ナチュラルに美しく、快活。冒頭のモーツァルト「魔笛」の主題によるピアノとチェロの変奏曲も同じ印象で、ベートーヴェンのピリオド楽器演奏も大分こなれてきたんだなぁという感じ。こういう演奏に貴重な楽器を提供して、CDまでリリースしてくれる浜松市楽器博物館も非常に理解があっていいなあ。
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