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永平寺の精進料理。(福井県永平寺町)
 永平寺といえば、やはり"精進料理"。これは外せないだろう。

 永平寺の精進料理は、例えば阿部孤柳著「日本料理の真髄」(講談社+α新書)で"日本の三大精進料理"[永平寺流、大徳寺流、普茶料理]と紹介され、また同書に永平寺流の精進料理が「現在日本に精進料理として最も普及している」とあるように、日本料理の様々なありようを広く楽しむ上で、実は意外と外せない存在感を放っている。

 直前の記事のとおり、先日永平寺に修行に行ってきた訳だが、もちろんこの精進料理の存在が参加へのモチベーションを強く高めたことは疑いない。

 さて、その精進料理。まず夕食はこんな感じ。

永平寺の精進料理(夕食) どうだろう、一見して質素な印象を受ける。京都でよく見られる、料理方(寺院出入りの料理店)が作る精進料理のようないかにも料理人の料理然とした雰囲気はまるで見受けられない。

 大根と大根葉のおみそ汁、香の物、煮物の器はがんもどき・椎茸・にんじん・えんどう豆。小さな茄子等のおひたしにきんぴらごぼう(?)の器に、蓮根の酢の物の器。そして画面では隠れているが、きんぴらの器の下に胡麻豆腐の器。「一汁香の物共五菜」、きちんとマナー通りの本膳料理(江戸期の略式の本膳料理[=袱紗料理])の形式である。お膳の左下に昆布の揚げ物、大福系の菓子、バナナがある辺りが多少お客さん待遇か。

 いずれも盛付けは必要最低限。香の物の量を見れは一目瞭然だろう。ご飯も器の底のほうに平たく張り付くような感じで必要最小限の盛りである。捧げてくれた食材の命に感謝しながら、これを一口一口噛み締めて食べる。そう、永平寺では食事も大切な修行の一環なのである。食事を作るほうも修行、食事を食べるほうも修行なのである。だからと言って食べる順番等を注意されることはないので、何だかんだ言って結構リラックスして味わうことができた。

 それにしてもこの料理、見た目は一見とても地味、味にも派手さはないが、一品一品丁寧に料理されており、少量のおかずを噛み締めながら感じる味の印象は、漫画「へうげもの」の古田織部の言葉を借りるなら「またしてもうまいっ!」(第四十四席”Relax”-織部とノ貫のエピソード-より。分かる人は織部のあの顔を想像してほしい)状態。何だかんだいって食後はきちんど腹八分目、食物の有難さが見に染みて分かる素敵な料理なのである。この感覚、やはり実際に味わってみるのが何より良いのではなかろうか。

 なお、食事終了間際にはご飯の器に少量のお茶が注がれ、器に残ったご飯粒は残らずさらえることになる。この辺はやはり修行である。


ごま豆腐(永平寺の夕食) 夕食の胡麻豆腐。もっちりとみずみずしく、他のおかずはみんな地味な中、これだけはストレートに凄く美味かった。ごま豆腐は永平寺の僧侶が作ったものか「永平寺御用達」の看板を持つ「団助」が作ったものかは判別がつかないが、どちらにしろ「こんな美味しい胡麻豆腐は食べたことがない」というレベル。仮に団助が作ったものとしても通常のおみやげ品バージョンとは全く異なり、超本気モードで作ったものに相違ない。さすがは永平寺名物というだけのことはある。これを食べている時だけ修行気分を忘れてしまう位。


朝食(永平寺) 翌朝、修行を終えた後の朝食。
 ご飯に香の物に、中央上の白い器はとろろ。お味噌汁の具は麩だったか油揚げだったか。高野豆腐・にんじん・麩・いんげん豆の煮物、そしてきんぴらのようなおかず。中央の黒い物体はいわゆる大徳寺麩のような感じ、"お肉もどき"というか畑の牛肉のようなものというか。大豆ではなく恐らく小麦粉のグルテン由来と思われるもの。そういえば夕食のがんもどきも"雁もどき"、もどき料理なのだなあと後日改めて思い至る。

 ということで朝食は一汁三菜。朝食後にお坊さんの挨拶があり、修行は終了、解散となる。さわやかな朝にさわやかな朝食、非常に気持ち良く朝が出発でき、とても良い思い出となったのである。

(※)
 永平寺の精進料理に興味がある人は結構いるのではないかと思われ「どこかで料理だけ食べられないかなあ?」とか、大徳寺や妙心寺みたいに「料理方を担当している飲食店があるのではないか?」なんて探す人は多いのではないかと思うけれども、永平寺の中には大庫院という台所があり、修行の一環として今でも僧侶が料理を作っている模様。(管理人が調べた範囲では)大徳寺や妙心寺のように「料理方」という制度は永平寺にはなさそうだ(ただし、例外的に胡麻豆腐に関しては「永平寺御用達」というお店がある)。

 もちろん永平寺の周りには観光目的で精進料理を作るお店が何件かあるのだけれど、永平寺の精進料理そのものとなると、やはり永平寺でいただくしか手段はなさそうだ。

 永平寺では、昔は昼のみの食事体験(中食体験)というのをやっていたようだが、問い合わせたところ現在は行っていないとのこと。つまり、何か特別な法要の機会でもない限り、泊まり込みで修行に参加でもしないと精進料理をいただくのは難しそうな様子。「一連の修行を通じて、少しでも何かを発見してもらいたい」といった所か。この辺は致し方ない所ではある。
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コメント

永平寺にて修行をしたものです。
参篭の食事はすべて雲水が作ったものです。
典座(てんぞ)寮と呼ばれる雲水たちは、朝の1時30分に起床し料理を作っています。
ゴマ豆腐ももちろん手作りです。
材料は、ゴマのペースト、葛、水だけです。

>たいこー 様
 この記事を書いた後日ですが、「典座教訓」にも一度ですが目を通しました。あの味は雲水の修行が生み出したものなのですね。シンプルな材料があそこまでの味になるとは。
 京都の禅寺に多く見られる、専業の料理店を「料理方」とする手法も、料理そのものを単なるお料理として見ればあれはあれで悪くないとは思うんですが、永平寺で一度こういうお食事を口にすると、禅寺のあり方というか、そもそも自分のあり方に対する考えとか、そういう認識もちょっと変わってくるように思います。

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