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「わび -侘茶の系譜-」(塙新書)
「わび-侘茶の系譜-」
数江教一 著[塙新書]

 茶の湯・茶道関連の本を何冊か読んだ中で「一番面白かった、一番ためになった」茶の湯の本

 「冷え枯れる」をキーワードとした「わび」という語そのものの考察、「禅」との思想の類似性や違いなどを通して、「わび」という言葉をより身近で考えられるようになった気がする。また、茶碗・茶入など茶器そのものにも俄然興味が湧いてきた。しばらく座右の本になりそう。

 瓢亭本店に行って、伝統的な日本文化の理解に、現代でも「茶の湯の精神」が大いに関わっていることを痛感した。習い事の「茶道」は凝り固まった形式を単になぞるだけであまりピンと来ないイメージだが、茶の「精神」自体は学んでみる価値が大いにありそう。ということで、茶の湯関係の本を文庫・新書中心に色々読んでいるところ。内容が深いので繰り返し呼んで見方が変わることもあるだろうが、とりあえずこんなふうに一読した感想を書き留めていこうと思う。


・東山文化(足利義政+能阿弥・相阿弥)、村田珠光、武野紹鴎、千利休。茶の湯の形式の確立から利休による侘び茶の大成に至る大きな4つのエポックにおける茶の特色を、本一冊使って分かりやすい言葉で詳しく説明している。一般的な入門書は茶の湯の歴史以外にも説明することが多いので、歴史に関する記述は短くなりがちだが、この本は歴史に絞ってある所が良い。小堀遠州・千宗旦はもとより鈍翁・耳庵に至るまで著作が残っていないものか、なんて思うがないものだろうか。

・教科書では銀閣と共に侘びの心の見本のごとく書かれる「義政の時代の茶の湯や"侘び茶の祖"村田珠光の茶の湯」が、実は「一般的にイメージされる侘びのイメージとは大分違う」という所を丁寧に分かりやすく説明されているのは、茶の湯の歴史を考える上でとても参考になった(※)。

・珠光の掲げた茶の湯の思想の真髄として最もよく引用される「冷え枯れる(ひゑかるる)」という美意識について、懇切丁寧に説明が施してあるのが有難い新書クラスでここまで書いてある本は他になかった(※2)。

・他の本で割と軽視されがちな武野紹鴎の記述が充実している。武野紹鴎が元々連歌師であったこと、そしてその紹鴎により、茶の湯に連歌的な美意識が加わったという分析は他の本では見なかった。紹鴎の重要性を再認識させられる。

※ 例えばこういう記述が印象に残る。
・東山当時の茶の湯は(あばら家のような茶室ではなく)端正な書院造の部屋で中国の美術品をたくさん並べて鑑賞する美術鑑賞の場だった。
・「侘び茶」への思想の変化を代表する器としてよく引合いに出される、珠光が晩年に愛用していた有名な「投頭巾茶入」が、いくら作りが下手とはいえ「唐物茶入」であること(つまり"舶来品"なのでそんなに安い器でもなかっただろうと容易に想像できる)とか。

※2 村田珠光の「冷え枯れる(ひゑかるる)」というキーワードの説明で、素人が備前や信楽をいきなり入手して気取るのは言語同断、「よき道具をもち、その味わいをよく知りて」心の下地から冷えやせる境地こそ面白い。という説明があるが、「よき道具」というのは唐物の美術品のことで、東山御物と呼ばれる類の美術品であることをきちんと説明している。「よき道具」とは何かというのは大事だと思うんだが、他の入門書には書いてありそうで意外と詳しい説明がない。
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