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富士山に登ってきた! -富士登山チャレンジの記。
富士登山の体験記 昨年、ついに富士山に登ってきた。
 頂上で富士山の火口をぐるりと一周した経験は一生忘れない。本当に素敵な思い出になった。

 …思い起こせば、7年ほど前にその種はまかれていたのである。
 西原理恵子の漫画「登山できるかな」。手始めに高尾山(599m)に挑戦した直後、いきなり富士山に挑戦してしまうような離れ業を目にしたときから、ひっそりと、歯車は回り出していたのだ。

 歯車はいつまでも管理人の心でじっくりと回り続け、ついに昨年「行こうかな」と心が固まる。その夏、現実に富士山にチャレンジする機会として実を結ぶことになった。長いこと思っていたことが、ふとしたきっかけで現実になる。不思議な感じもするが、長い人生、こういうことも楽しみの一つではある。

 …という訳で、以下、準備から登山までの一部始終。
 随分、長文になっちゃった。

 管理人にとって、道具をわざわざ買い揃えるような本格的な登山は初めての経験。
 福井から富士山を目指す人とか、何か参考にでもなればと。


< 準 備 編 >

 富士山への挑戦は、本屋さんでの情報収集から始まるのである。
 今までは漠然と「夏頃にしか登れないんだろなー」位にしか思っていなかった訳で。
 夏頃までに準備というイメージは漠然とあったので、4月位から情報収集を始めた。
 そういう目で本屋を探して見ると、それなりに参考になりそうな本も見えてくる。
 富士山の登り方だけで1冊の本になった「富士山ブック」というのが定番のようで、とりあえずこれを探したが売ってなかったため、後日Amazonで購入。福井の書店には、富士登山に関する本はあまり置いていないようだ…。
 本屋さんでは、ちょうどこの頃たまたま新刊で出ていた「山登りはじめました(鈴木ともこ 著)」という漫画を購入。漫画はおまけのつもりで買ったけれど、案外こちらが面白くて、事前の準備や山の登り方ではこちらのほうを色々参考にさせてもらった。


 本を読んで、富士山に登るには周到な装備を揃えるところから始めたほうが良いことが判明。
 好日山荘というお店が、登山客をターゲットにしたコアなお店だということを始めて知る。

 早速、福井の好日山荘へ。やはり、ショッピングセンターの総合スポーツショップより若干コアな品揃えなのがワクワクする。先述の富士山ブックも販売されている。
 必要なものが色々ある…。登山靴、ザック、レインウェア、登山用のストック、防寒着…
 店員さんは富士登山に初めてチャレンジするような初心者にも親切で、というかこの店ではよくある話のようで、店員さんに「富士山に登りたいんですけど」と聞けば、何を揃えれば良いかは懇切丁寧に教えてもらえる。
 靴・ザック・レインウェア・ストックなどは、万単位のお買い物。他にも夜間登山用のヘッドランプ、靴下、帽子など、細々としたものは次々と…。一つ一つ吟味しながら、少しずつ買い揃えていく。
 しばし、好日山荘通いが続くことになる。
 
 道具が一通り揃ったところで、道具の使い心地のチェックとか準備運動のため、近くの山に登る。
 手始めに、福井市の足羽山に登ってみたり。

 目立つ柱があったので「ここが頂上か?」とはしゃいで写真を撮ってみるが、後日、本当の三角点が別の場所に存在することが判明。侮れない山である。
 写真には標高一〇九メートルなどど書いてあるが、真の姿は標高3,777mの断崖絶壁の高峰。アンサイクロぺディアが言うのだから間違いない(笑)。片道20分少々で登った記憶しか残ってないが、これも記憶違いに相違ないのだ。

 断崖絶壁の高峰だけではさすがに不安なので、もう一つ、今庄の奥にある「夜叉が池(1,099m)」に登る。泉鏡花の小説の題材になった池。あまり泉鏡花は得意ではないんですが…。富士山を想定してゆっくりゆっくり、ペースを守って登ってみる。登山靴が足に馴染むまでどうしても時間がかかるので、こういうことはやっておいたほうが良いのである。


<スケジュール編>

 道具類の準備と併せ、富士山への旅行計画を練る。

 富士山の山開きは7月1日。山開き前でも登れない訳ではないけれど、山小屋は営業していない。事実上、観光客が登れるのは山小屋が営業する7月以降に限られる。さらに、7月初めはまだ梅雨明けてしていないので天気が不安だし、9月に入ったあたりから営業を終わる山小屋が出てくる模様。登れる期間は結構限られるのだ。

 本や漫画を読んで「へー」と思ったこと。

・富士山の3,776mの本当の山頂は1ヶ所(剣ヶ峰)しかない訳だけれど、富士山の場合、複数ある登山道の頂上、それぞれの登山道が火口に到達した地点も「吉田口頂上(3,710m)」など頂上と扱われていて、多くの観光客は、その「吉田口頂上」についた時点をゴールとして、剣ヶ峰まで行かずに下山すること。

・各登山道の頂上に着いてから、時間と体力に余裕があれば、富士山の火口をぐるっと一周して、頂上の雰囲気をじっくり堪能できること。これを「お鉢めぐり」という。「剣ヶ峰」も、お鉢めぐりのコースの途中に存在する。

 3,776mの本当の頂上(剣ヶ峰)まできちんと登りたいし、せっかくだからお鉢めぐりもしたい。できればちゃんと火口をぐるっと一周してきたい。旅行会社のツアーでは、時間と参加者の体力の都合上、そういう希望まで対応してくれるところはあまりないだろうと、ツアーに頼らずに行くことを決定。

 富士山への登山ルートは大まかに4ルートあって、やっぱり一番人が集まる河口湖側の吉田口ルートから登ってみたいが、下りのルートは「大砂走り」という砂地を一気に駆け下りるルートのある御殿場口ルートが面白そう。
 ということで、結局、吉田口ルートで登り、お鉢めぐりを楽しんだ後に御殿場口ルートで下山する、という、やりたい事を全部盛り込んだ計画で考えることにした。これは「山登りはじめました」のルートそのままになるわけだが、福井から富士山に行く場合、河口湖口までのアクセスに電車も高速バスも直通の便がなく、現地までの移動手段は思案が必要。ただ、荷物が重い上登山後は汚れるので、JRや高速バスよりも自家用車のほうが気分的には楽そう?登りと下りで違うルートを使ったら、登り口に置いてきた車はどうするのか?そもそも観光シーズンの河口湖で駐車場は確保できるのか?など色々課題にぶつかることになる。

 山小屋の予約も一仕事。5月ごろから山小屋の予約受付がちらほらと始まるが、ふたを開けてみれば、開始時点で7月・8月の土日の予約はほとんど満杯。おそらく旅行会社があらかじめ部屋を押さえているのだろう。案の定、7月に入って再度空き状況を聞いてみると、ちらほらとキャンセルが出ている日があったりして、管理人もキャンセルで予約が取れたクチだったり。予約を取った山小屋は「東洋館」。これも「山登りはじめました」のまんま。本に影響されまくり。

 課題だった福井からの自家用車でのアプローチだが、結局、前日の晩にJR御殿場駅近くの市営駐車場(24時間営業)に駐車、そのまま御殿場駅近くのホテルで一泊、翌日、御殿場駅からの路線バスで河口湖駅に向かい、河口湖口から登山する策を取ってみた。回りくどい行程だけど、リゾートシーズン真っ盛りの河口湖で駐車場が確実に取れるかどうか不安で仕方なかったんだもの。下山を御殿場口ルートとしたのはそのためでもある。


< 登 山 編 >
 …といったもろもろの準備を経て、ついに7月、シーズン真っ只中の富士山に向け出発。

 金曜の夜、仕事を終えてその日のうちに車で御殿場まで移動。高速で夜7時前から0時半位まで、約5時間半の行程。深夜なので、さすがに駅前の駐車場には余裕がある。車を停めてすぐに駅近くのホテルに行き就寝。翌日に備える。

 翌日8時過ぎ。御殿場駅から、富士急の路線バスで河口湖駅に向かう。土日祝限定で運行する予約制のバスが出ていたので、あらかじめ予約を取っておいたもの。バスの中から、頭は雲で隠れてはいるが富士山の大きな姿がちらりと見えて、ちょっとワクワク。9時過ぎに河口湖駅に到着。

 河口湖駅から富士山5合目に向かうシャトルバスは、週末ということもあってか、朝も早よからやはり行列。全員乗り切れなくてバスが次の便になりそうな気配すらしたので、タクシーを使うことに(シーズン真っ只中なのでバスの増便があったかもしれないけれど)。

 バスだと片道1,500円のところが、タクシーだと有料道路料金も含め12,000円とのこと。多少心が揺らぐが、めったにない機会、体力温存のためほぼ即決でタクシーにする。何しろ、下手をすると自分の命に関わるかもしれないのだ。某漫画では「金は命よりも重い…!」なんて言っているが、12,000円と命を比べればそりゃ命のほうが大切。お金のケチりどころを間違ってはいかん。
 さすがにタクシーの乗り心地は快適。運転手さんの観光ガイドを兼ねたトークも楽しい。運転手さんも富士山が好きなようで、1合目から富士山に登ったりしているらしい。まだマイカー規制の時期ではないので、道路には自家用車も多いけれど、やはり普通の自家用車は「混雑しすぎ」との理由だろう、駐車場どころかそのずっと手前、有料道路入口の時点で既に係員の支持を受けて途中で引き返す光景を目にする。おおむね順調にタクシーは進む。五合目の手前で渋滞して10分程度遅れたくらい。

fuji03.jpg  10時25分、富士スバルライン5合目(河口湖口)到着。既に標高2,300m。肌寒さを感じる。
 辺りは人・人・人。いかにもテレビで見たことがあるような観光地。そうそう、こういうのが富士山の登山口のイメージだよなあ。
 「山登りはじめました」に出てたとおり、辰っちゃん漬けのお店もちゃんとある。
 おみやげ店には、その鈴木ともこのイラスト入りトイレットペーパーまで並んでいた。

 高度に体を慣らすため、1時間ほど五合目に滞在。その間に腹ごしらえ。
 "みはらし"というお店の「富士山噴火カレー」。
 これも「山登りはじめました」と同じ。イマジネーションが…


 11時30分、ようやく富士山の登山口に立つ。ここからがスタート。ソワソワした気分。
 天気は曇り。というより、霧のような白いガスが上空に立ち込めている。
 見晴らしは良くないが、涼しくて歩きやすい環境である。

 登り始めてしばらくは、緑に囲まれたなだらかな道を登ってゆく。広い道で登山客を乗せた馬車とすれ違ったり、のどかな気分。
 他人が飛ばしていても、あくまで自分のペースで、亀のようにゆっくり登る。
 これも「山登り…(以下略)」の教えだったり。

  上空に垂れ込めている霧状の雲が、目の前にまで湧いてくる。
 「山登り…」で言ってる「ガスワンダー」ってこれかぁ、ほんとだなぁ何て思いながら、のどかに登っていく。


12時15分、6合目到達。
開けたところで、トイレもちゃんとある。
しばし休んで、ここからは本格的な登り。

こういう階段状の道を、ジグザグに淡々と登っていく。
道の様子も、これまでの黒い土から、急激に溶岩と砂礫の道に変わっていく。

 1時間ほど登ると、山小屋が集中する七合目の様子が見えてくるようになる。
 本日宿泊する山小屋も、あの中にある。
 ここまでくれば、もう一息。

 七合目の手前辺りから、純粋な岩場を登る箇所が出てくる。登山道がなくなり、設置された鎖だけをたよりに岩場を登っていく部分もあるので、手袋は寒さ対策だけでなく、こういう所で使えるものを考えたほうが良い。

 午後2時45分、本日の宿泊先「東洋館」到着。標高約2,900m。
時間をかけてゆっくりゆっくり登ったおかげで、まだ体力には余裕がある。
小部屋の予約が取れたので、しばしの間小部屋でゆっくりくつろぐ。

 午後4時、夕食。
 夕食はハンバーグ。
 ご飯の盛りが少ないように見えるが、おかわり可。高度のためか、量的にはおかわりしなくても十分だったが。

 翌日は夜中に起きてご来光を見るため、夕方5時半には就寝。
 寝ようと思うが、高度のためか本当に寝付けない。うたた寝したと思ったらすぐ目が覚めるような感じ。
 しかも、時間が経つほどに頭がクラクラして段々気分が悪くなってくる。
 トイレに行こうと立ってみると、まるで2日酔いのような症状。やはり、高山病は避けられないのかと。筋力サポートと防寒のために履いていたタイツを脱がずに寝たのが血行に悪かったか。
 これ以上症状が悪化しないことを祈りつつ、出発まで寝たり覚めたり悶々と過ごす。


 最も混雑するシーズンの、しかも土日にご来光を目指す場合、日付も変わらぬうちに出発することになるようだ。夜11時30分、東洋館を出発。
 山小屋から下を除くと、下から登ってくる人のヘッドランプの行列が延々と連なって見える…

 出発時になっても、高山病の症状はあまり改善しない。
 こういう状態での登りはやはり体がキツい。立ち止まって休むと症状が改善するので、様子を見ながら休み休み登っていく。
 途中、休憩を取ってカロリーメイトをつまんだところ、これが尋常でなく美味いもののように感じる。同時に、高山病の症状もかなり改善。栄養補給の大切さを知ると同時に、カロリーメイトってのはこういう時の為の商品なんだなとこのとき初めて痛感する。

 0時15分、八合目太子館(3,100m)到達。
 午前1時40分、元祖室(3,250m)到達。
 道中の山小屋は、深夜でもペットボトルや酸素を販売している。
 水のペットボトルは1本500円。
 それでも、荷物の重さには代えられない。どうしても購入することになる。

 午前4時。九合目、迎久須志神社(3,600m)到達。この辺りで、東の空が徐々に白み始めてくる。近くに丁度良くちょっとひらけたスペースがあり、この辺りで腰を落ち着け、ご来光を待つことにする。
 登っている間はそれほどでもないが、一旦腰を下ろすと、そこは7月でも完全に冬の寒さ。フリース、レインウェア等全て重ね着し、服装は完全真冬仕様の状態。そんな中、穴を開けたゴミ袋をかぶって登山する人が1名本当にいた。ゴクローサン。

 八合目からこの辺りまでは大量の登山客で渋滞する登山道で、朦朧とした意識で頻繁に休みながら黙々と流れに乗って歩いた記憶しかない。この辺の登りの凄惨さは、西原理恵子が漫画で描写したそのまんま。サイバラの漫画は、高山病の描写などネガティブな所ばかりが妙にリアルで良い。

  登ってきた道をふと振り返ると、そこにはライトの行列が延々と…
 現場でこれを見ると、気が遠くなること間違いなし。

 日の出まではまだ間があるので、ここで腹ごしらえ。
 東洋館でもらった、朝ごはんの弁当。
 中身は稲荷ずしでした。

 4時10分。徐々に明るくなってくる空。
 空の眺めは、この時点で既にきれい。
 太陽は、いまにも顔を出しそうでそれでいてなかなか顔を出さない。
 稲荷ずしをつまみながら、ゆっくりと時の移ろいを感じていく。

 そして午前5時、ついに夜明け。御来光の朝。
 このためだけでも、ここに来て良かった…。
 本当にそう感じる。

 明るくなった所で再び登り。上のほうまで行列が延々と続いている。

 この辺りまでくると、山の傾斜も結構怖さを感じる位になっている。
 登山道からすぐ隣に目を移すと、そこは一旦転んだらどこまで転がっていくか分からないような急斜面。

 小一時間登ったところで、ついに頂上が見えてくる。
行列が込みすぎて、「しばらく停滞→思い出したように5~6歩進む」といったペースだが、一歩一歩、着実に頂上に近づいていく。

 6時15分。ついに吉田口頂上(3,710m)に到達。
 やっと着いた…。

 山頂付近は山小屋が集中していて人もいっぱい。賑やかな中でちょっと長めに30分ほど休憩。開放感のためかやけに水が恋しい。ジュースのボトルを一本、ガブガブと一気に飲み干す。



 そしてここからは、「お鉢めぐり」。
 富士山の巨大な火口を眺めながら、火口の周りをぐるりと1周してくるのだ。
 3,776mの真の山頂「剣が峰」も、お鉢めぐりのコースの途中にある。

 天気にも恵まれた。富士山の頂上は、雲からすっぽり頭を出している状態。下は曇っているかもしれないが、頂上は何も遮るものがない位の快晴だった。
 一路、目指すは剣が峰。

 お鉢めぐりのコースは、一部を除き比較的起伏も穏やか。体力を消耗してるのと空気が薄いので足取りは重いが、気分は開放的。もうピクニック気分。


 眼下にうっすらと宝永山が見える。
 300年前の噴火であれができたのか、思ったよりスケールでかいなぁと感慨にふけることしばし。

 歩いていると、眼前に謎の人工物が現れる。
「富士無線中継所」の跡とか書いてある。
近くで見ても随分謎な施設だ。


 さらに進むと、人で賑わっている富士宮口の頂上がだんだん近づいてくる。
 その奥には、子供のころテレビで見た昔の富士山レーダーの土台が鎮座する一際高いピークが。真の山頂、剣が峰である。

 剣が峰にアタックする前に、富士宮口頂上でトイレ休憩&山頂の郵便局で家族に暑中見舞いを出してみたり。トイレでも郵便局でも並び、結局1時間少々、富士宮口頂上に滞在。
 それにしても、山頂のトイレは何でこんなに渋滞するんだろう…

 8時15分、剣が峰に向け再始動。剣が峰までの急斜面、通称「馬の背」が視界に迫ってくる。
 評判通り、この坂はきつい。油断するとずるずると滑り落ちてしまいそう。角度的にも滑り台を無理やり遡ってのぼっていくような感覚。これが最後の難関。ストックをしっかり踏ん張り、気合で登る。

コース端の鉄柵からの眺め。眼下一面に雲海が拡がる。


何とか馬の背を登りきり、ついに剣が峰直下へ。
 しかし、登りきったところに思わぬ難関。シーズン最盛期の週末のためか、剣が峰の直前が大行列。3,776mの標柱のところで皆が記念撮影をするので、行列ができるのだ。
 結局、剣が峰に辿りつくまで40分も並ぶことに。最後まで侮れんのう。


並んでいる間に撮影した、富士山の火口の写真。
スケールがでかすぎて、ちょっと高い所から撮影しないと、なかなかフレームに収まりきらない。

 そして…
 9時20分。日本最高峰、3,776mの頂に、ついに到達。

 やっぱり来て良かった…
 御来光のときと同じ想いを、再び噛み締める。


 しばし剣ヶ峰に登った余韻に浸った後、さらに先に進む。
振り返ると、さっき登った剣ヶ峰の姿が。

 天気は快晴。日が昇るにつれ、気温も段々暑くなってくる。汗を拭きながら歩く感じで、着ていた防寒具等は脱いだほうがむしろ歩きやすい。
 日差しも朝方からかなりきつくて、太陽の光が遮るものも何もなくダイレクトに振りそそいでくる感じ。日焼け対策をしていないとガンガンに日焼けしそうな感じ。帽子ををかぶっていても日焼け対策は必須です必須。手袋を外してみたら、手袋を突き抜けて手が日焼けしてた位。

 10時30分、ぐるっと火口を一回りして、吉田口頂上に戻ってくる。
 山小屋で購入した昼食のカップヌードル。価格は700円(!)。
 頂上で食べるカップラーメン。すするごとに旨さが体に染みていく…

 山小屋で長めの休憩。さあ、ここからは下山だ。
 大砂走り対策のスパッツを装着し、下山に望む。11時30分頃に御殿場口山頂まで移動、下山開始。

 この日、御殿場ルートでは富士登山駅伝が開催中。駅伝開催中でも登山道が通行止めになることはない。
ランナーが近づくと、警備の自衛隊員の合図で登山客はコース外に退避するのだ。やってきたランナーに「がんばれー」と声をかけながら下山する。ランナーが頻繁にやってくるので下山ペースは遅くなるが、何だか楽しい。

 12時頃には、駅伝のランナーもほとんどいなくなった。警備の自衛隊員も、もう皆が下山を始めている。自衛隊員の下山は早く、あっという間に抜き去られる。

 足元は溶岩の砂利で、結構不安定。転倒しないようかなり気を使いながら慎重に下山する。
 これから降りる行く先は、真っ白なガスに包まれている。再びガスワンダーの中に突入していく。


 8合目「長田尾根登山路建設記念碑」付近から撮った富士山頂の姿。

 御殿場ルートは、吉田口ルートに比べると、山小屋の数が随分少ない。山小屋の跡というか、以前は山小屋だった廃墟もちらほら見られる。営業している山小屋で、カロリーメイトかウィダーインゼリーのようなやつを買おうと思っていたが、こちら側の山小屋では取り扱っておらず買えなかった。4つのルートのなかで最長の御殿場口ルート。下山するときは、事前に行動食を補給しておいたほうが良い。

fuji40.jpg 14時20分。大砂走り前最後の補給地点「日の出館」を過ぎ、ついに「大砂走り」の看板が。

 足元は、これまでの砂利から黒っぽいふかふかの砂地に。
 何だか、空中を歩いているような感じ。
 クッションが効いているので、豪快に足を踏み出すことができる。
 段々、歩くというより走るような感じになり、ペースもぐんとはかどる。

 本に書いてあるとおり、一歩で3m位進んでいるような感じ。
 両手持ちのストックを使いながら降りる感覚は、スキーで滑る感覚にちょっと似ている。どんどん高度が落ちていく。これは楽しい。
 大砂走りが始まってしばらくはコース上に大き目の石ころがごろごろ落ちていて多少気を使うが、調子に乗ってガンガンとペースを上げていく。

 購入したスパッツのおかげで、砂が靴に入るようなことは一切なし。逆に、スパッツなしでここを降りるのは、砂場をサンダルで走り回るようなもの。砂の質も荒くて、この中を長時間かき分けることになるため、普通のスニーカーだと、砥石で研いだようにツンツルテンに削られてしまいそうな感じ。

 1時間後。砂地は視界一面に広がってくる。
 ガスが辺り一帯に垂れ込めており、先の様子がまるで分からない。
 まるで砂漠の中を彷徨っているような。

 コースを示すロープや標柱を頼りに、コースから外れないよう降りていく。
 そろそろ大砂走りも終わりかな。大分疲れてきた。

 さらに1時間後。
 …景色がまるで変わらぬ。
 看板も、高度の表記も何一つ見当たらない。
 さっきからずーっと同じ所を歩いているような…

 スタミナは既に尽き、バテバテの状況。この頃には、走るどころではなくトボトボ歩き。

 このような中、ついに1枚の看板に遭遇する。
 「大砂走り あと45分」
 …打ちひしがれた。これを見たときの絶望。
 なぜ今になってそのようなことを言う。なぜもっと早く知らせてくれない。
 看板に対して殺意まで覚えたのは、これが初めてかもしれない。

 ガスの中を彷徨って彷徨って…。
 結局、麓の御殿場口に辿り付いたのは、ほぼ看板どおりの午後4時50分。

 着いた時点で完全にスタミナ切れ。その日は御殿場市のホテルでバタンキューという状態でした。翌日一日かけてゆっくりと福井に帰宅。

 4つの登山ルートの中で最長距離、高低差2,350mの御殿場ルート。
 ペース配分さえ間違わなければ、もっと楽しめるはず。
 大砂走り自体は本当に楽しいです。ほんと。

 御殿場ルートでの下山を考えている方に、忠告させていただきたい。
 ガイドブックでは、大砂走りが新五号五勺付近でいかにも終わるかのように描かれているものが多いですが、実際は、そこからさらに麓の御殿場口まで45分間、大砂走りはずーっと続きます。くれぐれも体力の配分を間違われませんように。


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コメント

はじめまして。。
あたしは喘息の持病があるので富士登山などもってもほかですが。。( ̄▽ ̄;)
でも富士山が好きで京都から富士山を見学に行きます・・
五合目までの車で行くのがやっとですが・・。
自分も富士に登っているように楽しく読ませていただきました・・。
最期の大砂走り45分を読んだときは飲んでたビールを笑いで。。。吐き出すとこでした(笑)

>みーやん 様
 コメントありがとうございます。京都から富士山とはこれまた遠いです。
 良い景色がにめぐまれるといいですね。

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